姫とキッス

セカンドライフ内フォトです。気に入ったらコピーしてブログに使ってください。

携帯の方は〈送信者〉とか〈ドキュメント〉をクリックすると見られます。


最近はHTML方式とテキスト方式に簡単に切り替えられるようなので、文章だけのときはテキスト形式にします。

〈7月の始め頃の出来事です。有料版で発行したのですが投稿します。フィクションではありません〉

姫が来てくれたので、号外します。

かなりうれしいです。3時ごろの出来事なのですが、しっかり記憶にとどめるために、一時間はシミュレーションしていました。



送信者 My Documents

 明日は臨時の休みだ。
 こんなときは粋な計らいで何かを見せてくれるのが常だが、やっぱり来た。

 うつらうつらしていて知らないうちに向こう側に入っていた。 まったくの異次元空間だった。
 霊は誰もいない。
 ひとりで不規則に回転しながら、どこまでもどこまでも堕ちていった。

 いや、グルグル回りながら果てしなく、ブラックホールに呑み込まれている感じだった。


 私の魂はもう終わりに近づいているから、このまま消えてしまえばいいと思った。

 長いことそんな状態が続いたが、やがて柔らかいものが身体に触れるのを感じた。

 やがてそれがハッキリしてきて、女体であることが解った。 そして暖かいものを感じた。

 ――そうだ……この包み込まれるような暖かさは……姫だ。  とっさにそう思った。

 いつもこうだった。

 そしていつものように睦みあった。 抱きしめる、抱き合うという感じではない。

 ついたり離れたり――それをいつまでも繰り返していた。依然として体が回転していたからだ。

 あとで思うと舌の絡まる濃厚なキスをしていたように思う。 何か判然としないのだ。
 それというのもあまり意識をハッキリしすぎると、現実に戻ってしまう心配があったからだ。
無意識に朦朧とした夢現の状態を保っていた。


 やがて地上についたのか、落ち着いたところに出た。依然として真っ暗闇である。

 そこに確かに白人と白い血の混じった黒人がいた。 彼らは振り返り私と目が合った。楽しんでいるようだ。


 その二人の後ろに姫がいるらしいことは何となくわかっていた。

 そして私は愛しさがこみ上げてきて、男が邪魔しているのに身体を擦りつけていった。







 そこでまた真っ暗となり、白人も何もかも消えていた。
 どうやら私は最後まで到達してしまったらしい。
この世界で快感と同時に出た感覚があっても、実際に起きてみても出てはいないのだ。
〈ちょっとアダルトですが、このくらいは性教育ということで……〉

 しかしまだ目は覚めていなかった。

 そこは暗いが大きな部屋であるらしかった。

 もうひとり肉付きのいい可愛げな女がいて、私はその胸に悪戯しながらいっしょに戸口へと出て行った。
 女は悪戯されながらもちょっぴり照れた顔で、後ずさりしつつ、
何かに遠慮しているような体裁で名残惜しそうに、
かすかな微笑を残してもうひとつの出口へ消えていった。

 後ろを振り返って戻るとそこに姫がいた。

 いやたぶん私も彼女がいることがわかっていたのかもしれない。

 ちょっとしたじゃれ合いのつもりだった。だから女とのいちゃつきはほどほどにしたのだ。  

 姫は見てみぬ振りをするかのように、虚空をシリアスな目でじっと睨んでいった。

「ごめんね。僕はやっぱり姫じゃなきゃだめなんだよ……」素直に姫に謝った。

 しゃがんで壁にもたれかかっている姫の長いスカートのところに顔を押しつけていった。

 姫は安っぽい、くるぶしまであるような黒のロングスカートをはいていた。
むかし少女たちの間で流行ったものだ。

 姫のファッションと長く付き合っているが、こんな安っぽい服は初めてだった。まるでどこにでもいる中学生のようだった。

 ――さっきの鋭い眼差しはけっこう怒っていたのかもし      れない。

 ようやく許す気になってくれたようだ。 姫はゆっくりと顔を上げた。 

 ハッとしたのだが、それは今までにない姫の顔だった。 印象がまったく違う。雪のように白く優しげなしおらしい美少女だった。

(これははっきりみえました。絵にかけそうです。)
 これで姫の秘密がハッキリしたような気がした。

 姫には定まった顔がないのだ。 帽子や靴やハンドバックのように、今日はこれ、今度はこれと自由に取替えができるのだ。


 山口智子顔も、高島礼子顔も、すべて姫だったのだ。いや、姫というより咲夜姫そのものなのだろう。
 姫という女性を演じつつ、実は咲夜姫本人だったのだ。
 今日のこの顔も実は私のお気に入りのタイプだった。
 たぶん私の好みを知り尽くしているのだろう。
 怪人二十面相(失礼――姫に謝っている)なのだから、きっととうの昔に自分の顔を忘れていることだろう。






 次の部屋にいると、姫は私になにかを言った。
 厳しい口調だった。
 私の着ている服が不都合であったらしい。それが幽体離脱の妨げになるのだろう。
 いつの間にか私はぶあついおかしな服を着ていたのだ。しかし実は姫がなにを言っているのか、  

  まったく解らなかった。
 だから腰を下ろして、ともかくも脱げば良いのかなと思って、その場に座った。
 そこでなぜか現実に戻ってしまった。

 しかし、姫の凛とした口調はかっこよかった。そして、優しいだけでなく、厳しいことも言ってくれるのだと帰って安心したのだった。
 姫は私には決して怒らないので、かえって負担だったのだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿

フォロワー

access